CBSでは130以上の選択科目を、コロンビア大学の他学部は4000以上の修士レベルの科目を、それぞれ提供しています。

CBSでは、専攻分野を作ることはオプショナルであり、卒業に際しての要件には特になっていません。 そのため、専門分野に特化せず、幅広い知識を身につけたい学生にとって、専攻に必要な履修科目に縛られることなく自由な課目選択ができることが魅力です。

また、専攻分野を作る場合には、その専攻のために指定された選択科目の中から通常3-5科目を履修することが必要です。必修科目を履修免除にしたり、複数の専攻分野でカウントされる選択科目をうまくとることにより、2つ以上の専攻を持つことも可能です。以下はCBSが現在オファーしている専攻分野です。(2008/4現在)

  • Accounting
  • Decision, Risk and Operations
  • Entrepreneurship
  • Finance and Economics
  • Healthcare and Pharmaceutical Management
  • Human Resource Management
  • International Business
  • Management / Leadership
  • Marketing
  • Media
  • Private Equity
  • Real Estate
  • Social Enterprise
  • Value Investing

 

Master Classとは?

 

Master Classとは、実践型かつプロジェクトベース型の選択科目の総称で、第2学年より履修することができます。
各Master Classは、特定業界・分野(コンサルティング、不動産、起業)にフォーカスし、プロジェクトチームを組成して、実際の企業に対し実務上の問題解決方法を提案します。

>> Master Classの紹介ビデオは こちら から

>> Master Classの開講例は こちら から

>> Master Classの日本人による受講体験談は こちら から

 

授業の詳細情報を知るには?

 

>> Courses at Columbia Business School より検索可能です。

 

教授の詳細情報を知るには?

 

>> Columbia Business School Directory より検索可能です。

 

参考: 選択授業一覧

MBA選択授業一覧(2008年夏学期,2008年秋学期,2009年春学期)
2008-2009 CBS Electives_MBA.xls
Microsoft Excel Table 90.5 KB

Accounting

Financial Statement Analysis

教授: Norman Bartczak

 

Accountingの完成版とも言える授業。Earnings Quality等で学んだ会計処理実務を理解している前提で、ケースに基づき種々の会計的maneuverの背景、妥当性、disclosure上の意味、および、会計基準の効用と限界を理解し、財務諸表の分析法を学ぶ。
教授は、ハーバード向け等に100以上のケースを書いてきたベテランで、飛んだり跳ねたりのパフォーマンスで授業は面白い。
Gradeはtake-homeのFinal Examのみ。
仕訳を学ぶ会計の授業ではないので、会計はもういいという人にもお奨め。

 

Decision, Risk and Operations

Supply Chain Management

教授: Medini Singh

 

コンサルティング業界、もしくはジェネラルマネージメントのキャリアを目指す人にとっては避けて通れないオペレーションの理論を学ぶ授業です。
統計的に非常にシンプルな図式で、物流がきっちり管理できることがわかったり、どうして、また具体的にいくら、垂直統合でコストダウンが図れるか、などを学ぶことができ、物流のマネージメントをしたことのない私にとっては非常に面白い授業となっています。
教授はもともとはインド人で今はNYの市民権を持っている人なのですが、自虐的なギャグを連発しながら授業を進めていくため教室は笑いがたえません。基本的には数式がたくさん飛び交う授業ですが、難しい数学的コンセプトを扱っているわけではないので誰でも理解できると思います。

(2008年春学期現在)

 

Service Operations Management

教授: Medini Singh

 

製造業を連想しがちなOperations Managementの概念や手法を、サービス業に特化して学ぶ。
対象業界は、医療・金融・運輸・レストラン・ホテル・ITなど幅広く、各種分析アプローチの紹介やケーススタディを通して、いかにサービスビジネスの競争力を向上させるかを議論する。主なトピックは以下の通り。

  • Process Analysis: ファーストフードや病院等のオペレーション分析
  • Data Envelopment Analysis: 複数のイン/アウトプットを用いた生産性分析手法
  • Queuing Model: 窓口やコールセンター等の待ち行列
  • Revenue Management: ホテルやエアライン等の売上最適化
  • Off-shoring: 中国やインド等へのサービス業務のアウトソーシング


また学期を通して、生徒が3-4人のチームを組んで、グループ・プロジェクトを行う。扱うテーマはチームの自由で、実際の企業へのコンサルティング、チームによる起業プランの作成、興味を持った業界・企業のオペレーション分析などを行うことが多い。

サービス業のオペレーションは、学問的にも近年注目を浴びている分野なので、将来サービス業に従事する人やサービス業へのコンサルティングを考える人には良い刺激となるはず。私自身は、日本の優れたサービス企業が、世界を舞台にもっと活躍するのに貢献したい、との思いで履修した。

(2008年秋学期現在)

 

Entrepreneurship

Introduction to Venturing

教授: Amarnath V. Bhide

 

この授業の特徴は、MBAのための逆洗脳と言えると思います。Accounting、Marketing、Corporate Financeなど、1年目の授業で学んだことをいったん退けます。企業する際、頭でっかちな理論より役立つものがある、という観点から、機会のEvaluationと開発、リソースの確保、会社の成長及び存続のための手法を勉強します。ケースを読み、授業前日の夜までにケースについて、自分ならどうする、という観点でアンケートに答えます。クラス全員の回答をプロジェクターで写して、各自なぜそのような結論に至ったかを、教授がモデレートしながらディスカッションします。同じケースからまったく違った意見を聞けるという点で非常に面白いクラスです。また、多岐に渡る業種のスタートアップのケースを読み、授業の締めくくりでそのベンチャーの末路を教えてくれるという点も、自分のアナリシス及び直感がどれだけ正確か分かり、面白いと思います。
この教授もHBS出身だけあって非常にクラスのリードがうまく、満遍なく学生の意見を引き出してくれます。ただし、授業に遅刻したら教室に入れてもらえない、授業中の食事は厳禁など、ビジネススクールでは珍しく非常に厳しい教授です。

 

Finance and Economics

Capital Markets

 

ファイナンス系の選択科目でありますが、コロンビアビジネススクールにおいて他のファイナンス系選択科目を履修するには本講座の履修が必要になっており、コア的要素の強い科目です。しかしながら内容は、近代ファイナンス基礎理論を幅広くカバーしており、また、数式を多用することもあり、密度の濃い授業となています。
本講座はリスクアービトラージのコンセプトの元、債権、株式、オプションの価格決定に関する理論を学ぶことができます。債権の部においては、イールドカーブ・スワップ取引・デュアレイション、株式の部においては、CAPM理論・ポートフォリオ最適化に関する理論、オプションの部においては、バイノミナルモデル及びブラックショールズ方程式によるオプション価格の算出、がカバーされます。
理論が基礎から講義される為、コアのコーポレートファイナンスでの疑問点が解明されたり、また、ほぼ毎週演習問題を解く宿題が出るため学んだことをしっかり身に付けることができる講座です。

 

Advanced Corporate Finance

教授: Roger Mesznik

 

必修コースで習った資本コスト、最適資本構成、企業価値・株主価値評価、オプションの評価といった企業財務の主要なテーマを深く掘り下げることが目的。

授業は3時間の長丁場であり、有名なRJRナビスコのLBO(*KKRのヘンリー・クラビスはコロンビアMBA!)や映画ファイナンス(映画作成前にその作品の続編に対するコールオプション評価)といった興味深いケースを毎回扱います。ひたすら数式を展開していくのではなく、ファイナンスの授業ではありますが、ケース形式の授業で、必修のCorporate Financeで習った概念・手法について、本当にそれで良いのか、なぜそのようにするのか(結構マニアックに?)議論します。

 

たとえば、株主価値を評価するにあたって、資本コストはWACCで求める。WACCでは、debtはその会社や類似企業の格付けを参考に借り入れレートを決め、equityのコストはCAPMで計算する。Equity betaを一度unleverし、評価する企業の資本構成に従いreleverし直す・・・といった方法を必修のコースでは学びます。

そこで、equityのコストだけでなくdebtのコストを考えるに当たっても、betaを本当に考えなくて良いのか?betaとは株式市場に対する感応度ですが、景気よく株価が上がっていくと企業の倒産率も減るので、debtのdefault rateも下がるはず。なのでdebtのコスト(=リスク)も市場に感応しているのではないか?そうであれば、betaをunlever/releverする際に、debtのbetaを0として計算しているが、それは本当はおかしいのではないか?・・・といった具合です。

 

学生は5名位のグループに分かれ、ケースに関するプレゼン1回、ケースに関するペーパー1本、自由研究一回の三つの提出物と試験で評価されますが、試験はオプションだとのこと。提出物により成績がつけられ、それに満足しなければ試験を受けることができるという、変わった評価形態になっています。

(2008年春学期現在)

 

Merger & Acquisition

教授: Scott Baxter

 

本科目を教えるBaxter教授は、2001年までJP MorganのM&A部門のトップで働いていた実務家。学期を通して、一つだけの独立系石油会社の合併想定ケースを使い、企業価値評価から始まり、合併のオファー、Due Diligence, ネゴシエーション、税務戦略、競合オファーとの対決、そして被合併側からの買収防止策の発動等、実際の合併にまつわるありとあらゆる場面を想定してチーム単位で学生が競い合います。ファイナンスのみならず、法的側面も多岐に渡りカバーするため、準備にかなり時間を取られるDemandingな科目と言えますが、現実に非常に近い緊張感を持って毎週の授業が展開されるため、得るものも多く、まさにビジネススクールでしか体験できないダイナミックさを味わえる授業の一つと言えるでしょう。

 

M&A in Media (Master Class)

教授: Jonathan Knee

 

メディア業界のM&AにFocusした科目。隔週毎に地上波放送局・新聞・CATV等の業界についての特性(財務分析・規制・主要企業の戦略等)を分析し、実際のM&Aに当たっての注意点を解説していく。教授は元Morgan Stanleyのメディア部門のHeadで、現在はメディア業界に強いPrivate Equity企業の役員を務めている。理論的にも明快で勉強になる内容だが、I bankerのM&A実務は業界分析とそれに基づく提案からなるStrategic Marketingと言い切る教授の言葉通り、非常に実践的な内容となっている。最後は実務を想定した90分のプレゼンテーションをチームで行い、メディア企業マネージャー・投資銀行MD等が、質疑応答などを通じて採点する。毎週のメディア企業の役員がGuest Speakerとして来るのも魅力。

 

Investment and Wealth Management

教授: Geert Bekaert & Ann F. Kaplan

 

【魅力】
一講座ですが、中身が機関投資家相手のマネーマネージャーコースと富裕個人相手のアドバイザーコースに二分され、Bekaert教授が前者、Kaplan教授が後者を担当します。

【授業スタイル・試験】
Bekaert教授: ケースディスカッションと講義が半々です。合計4回のケースライトアップが課され、チームで回答します。中間試験はなく、インクラスの期末試験があります。
Kaplan教授: リーディングにもとづく小論文が3回あり、チームで対応します。
中間試験はなく、期末プロジェクトがあります。期末プロジェクトは、教授が扮する富裕な個人投資家に対して資産管理の具体的なアドバイスをし、質問に答えるものです。

【その他】
この授業では、富の生成と富の持続的な管理とは似て非なるものだ、また、市場は効率的だという考え方に依拠した上で、以下のような内容について学びます(代表例)。

  • 専用ソフトウェアを用いた理論的な資産配分方法
  • ファンドマネジャーのパフォーマンスの計り方
  • 外債投資の利用方法
  • アメリカの富裕な個人投資家の心理
  • 投資対象としてのPE、ヘッジファンドの特徴
  • 税制
  • 相続
  • Trust, Charity


私のキャリアはファイナンスではありませんが、広くアメリカの金融文化を学ぶつもりで選択し、大いに学びがありました。ポートフォリオマネージャーを目指すチームメート、起業して成功し富裕層になっているチームメートも授業には満足していました。

(2008年秋学期現在)

 

 

Economics of Strategic Behavior

教授: Bruce C. Greenwald

 

CBSの看板教授のひとりであるGreenwald教授が、産業構造の分析に基づく戦略論について講義します。マイケルポーターの「5-Forces」をさらに煎じ詰めて、「Only-one-force」ともいえるBarrier to Entryに注目します。Barrierの有無により、ゲーム理論を活用した競争相手とのInteracionやOperatinal Efficiencyといった戦略を導き出します。教授の単純明快かつ実践的な理論は感動ものです。また、コースの最後にはValue Investmentの概略にも触れるので、一粒で二度おいしい授業です。

授業は大講堂で、レクチャーとケーススタディ(50:50くらい)で進められます。

100人以上でケーススタディをするのは多少無理がある気がしましたが、それでも議論のさばき方は鮮やか。毎回数名がコールドコールされます。

なお、授業の内容は教授の書いた本(*)と全く同じなので、理論だけ学べればそれでよい、という人は本を買って読めばOKです。

(*) Competition Demystified: A Radically Simplified Approach to Business Strategy

 

(2008年秋学期現在)

 

 

Healthcare and Pharmaceutical Management

Healthcare Industry in the 21st Century

教授: Linda Green

 

内容
米国の根深いヘルスケア関連Issueを浅く網羅的に扱うヘルスケア101。最初の概論では、大雑把な国際的な比較がありますが、つっこんで欧州やアジアについては扱いません。ただ、101とはいっても規制で雁字搦めの日本とは異なり、バラエティに富んだ米国のヘルスケアサービスビジネスは興味深く学びは多いです。特に、米国のヘルスケアはDisease ManagementPharmacy Benefit Management (PBM)などで他国に比べて先進的な事例が多く、この分野の話はゲストスピーカーなども交えて多角的に議論をしました。

形式
講義、ケース議論、ゲストスピーチにほぼ均等に時間配分されています。ケース数本のまとめとファイナルプロジェクト(プレゼン)が課されます。プロジェクトは各自興味のあるトピックを深堀りします。

クラス構成
アジア人は全体で数人。大半は米国のヘルスケア関連企業で何らかの経験がある米国人学生で、留学生比率は20-30%くらいでしょうか。B-School以外にもMPH やMDとのダブルメジャーの学生もちらほら見かけます。

(2008年秋学期現在)

 

Human Resource Management

(編集中)

International Business

Developing Strategies for High Tech Firms

教授: Raul Katz

 

【魅力】
世界の通信業界で名を馳せた元経営コンサルタントの教授が、多様な枠組みを使ってハイテク企業の経営戦略を緻密に解説し、ケースディスカッションをリードしてくれます。
講義の進め方が周到に組み立てられているため、頭の中で整理をつけやすいコースです。

【授業スタイル】
毎回、前半が経営戦略の解説、後半がケースをその戦略に当てはめながらのディスカッションでした。議論は活発で、テーマに沿った実のあるものでした。
2回に1回程度はケースや読み物に直接関係した当事者本人や、取り上げられた企業のマネージャがゲストスピーカーとして登場しました。

【試験】
Take homeの中間試験(ケースライトアップ)、Take homeの期末論文(個人)。
論文は、各自テーマを選び、テーマの妥当性、進め方などを教授と打ちあわせた上で取り進められます。期末論文テーマの例は以下の通り。

  • ソーシャルネットワークサイトの経営戦略
  • PEがハイテク業界の再編に果たす役割
  • 韓国の携帯電話器メーカーによる米国市場展開の将来性


【その他】
High Tech= コンピュータのハード・ソフト、インターネット企業、通信業界 に特定されていますが、毎回説明されるフレームワークは High Techの枠を超えて使えると思います。
私は機械メーカー勤務なので、High Tech業界ではありませんが、自分の会社の立場に一番近い戦略系の講義としてこのコースを選びました。結果として、枠組み、使い方など、得るものは多々ありました。

(2008年秋学期現在)

 

Management / Leadership

High Performance Leadership

教授: Michael Feiner

 

教授は長年Pepsiの人事関連役員を務めた非常にenergeticで熱意のある教授。授業のスタイルはCase半分、lecture半分程度。ただし、授業中は相当程度participationを期待されます。Case Studyで良く行うのは、role playing。「あなたかこの人だったら上司(部下)とどう話し、対応するのか」を教授と皆の前でrole playします。
本コースの主なポイントは、LeadershipがManagementと異なるという点。また、Leaderになるためにはどういったことが必要かを叩き込まれます。その点とは、人材にこだわる、部下に大きな夢をもたせる、実行する、必要な資金・リソースを与える、など感覚的にはしっくりくるものです。また、大きな点とてしては、人と人の関係をうまくしないと、人をleadすることはできないということ。そして、leaderはさまざまなスタイルがあり、こうでなくてはいけないというレシピはなし。
本コースの魅力は教授と毎回の授業の面白さ。教授は熱意あり、生徒皆に今後活躍してほしいという気持ちが本当に伝わってくるところ。Role playingでは緊張感も楽しめます。
コロンビアではtop 5には間違いなく入る人気授業。是非お勧めします。

(2008年春学期現在)

 

Corporate Governance

教授: Franklin R.Edwards

 

企業と株主との関係や、投資家としての判断基準(インサイダー取引)などについて、過去の判例に基づいて習得していく。
米国のみならず、欧州そして日本のGovernance体制についても触れる。
「株主のための経営」という概念及び実態を理解するにはもってこいの授業。

授業スタイルは毎回判例やケースを読み、それについて授業でDisucussion形式で進む。日本のケースもあるので日本人も発言する必要あり。

ほとんどの授業でA4 1-2枚のWritten assignmentがある。

(2008年春学期現在)

 

Top Management Process

教授: Ralph Biggadike

 

この授業は、コロンビアにおいて、特にManagement領域の授業の中での看板授業です。
先生もケースも授業内容も、極めて僕の中では満足度は高く、ビッドポイントが高すぎるという問題点もあるものの、僕はもっと早いセメスターに取っておいて、Top Management Challenge(このコースはTMPがRequirement)も取るべきだったと悔やんでいます。

 

さて、具体的な授業の内容ですが、実際に授業を受ける前は、授業で(正しい)戦略立案をディスカッションするのかと思っていました。ただ、授業を受けてみると、そうではなくて、企業、もしくは事業部のトップとしてシステマティックに(こう日本語で書くと語弊が生じるとは思いますが、そういう意味ではなく)、どう(ある意味みんなが)意思決定する場を作っていくべきなのか、もしくは最適な意思決定に必要となる要素はいったい何なのか、と言うことをディスカッションしていきます。

 

意思決定の仕組み、つまり、意思決定をどう形作っていくのかというプロセスについては、例えば日本企業においては『根回し』として知られるところです。コンサルティングの現場でも、プロジェクトの『落としどころ』として、極めて重要なイシューとして捕らえられているかと思います。この授業では、ある意味、暗黙知的に日本人、もしくは日本企業が持つそのような意思決定プロセスに大きな問題提起をします。一体、最適な意思決定はどのようなプロセスで、どのような場で、どのようなトップの意識で作り上げられるのか、と。我々が今まで当然のように行ってきた意思決定プロセスは、本当の意味でのトップ・マネジメント・プロセスに則っているのか、と。

 

基本的にはケーススタディで、あとはセメスターの間にある4回のシミュレーションを通して最も優れた意思決定を生み出す要素を学んでいきます。ケーススタディは、事業ケースだけでなく、エベレスト登山での危機的状況を描いたケース、ケネディ大統領がキューバ危機に直面していた2週間を描いたケースなど、意思決定をキーワードにかなり広範囲な事象を扱います。
先生は、生徒の毎回の発言をかなり正確に覚えており、以前のケースの要点やクラスディスカッションを汲み取りながら、毎回のクラスを進行します。自身も製薬会社のCEOであった教授のクラスの進め方は、コロンビアの授業の中でも間違いなく際立っています。

 

ちなみにですが、最後に個人的なTake Awayについて簡単に。
コンサルタントとしての社会人経験が長すぎたせいか、どうも僕は自分の中で強い仮説を持つ傾向があり、しかもそれを必要以上に信じ込んでしまう傾向にありました。なので、他の人をマネージする上では(シミュレーションにおけるチームディスカッションにおいて)、いかに僕の仮説を流布させるのかということに苦心する自分がいました。それは結局プレイヤーとしての役割から、マネジメントとしての役割へと脱皮していない状況にあるのだということを、心の底から腹落ちすることができたのが、僕にとっての最大の収穫だったのではないかと思います。僕がやっていたことは(残念ながら仕事現場においても)、トップ・マネジメント・プロセスではなかった。
Strategyの授業でも、その他のManagementの授業でも、自分のマネジメントスタイル、意思決定スタイルを客観的に観察することはあまりないのではないかと思います。そういう意味で、僕にとっては極めて有益であり、かつ楽しい授業でした。

(2008年春学期現在)

 

Top Management Challenge

教授: Ralph Biggadike

 

Top Management Process(以下TMP)の続編とも言える授業。TMPがPre-requisiteになっているため、最終学期を迎える前にTMPを受講していることが条件となる。

Top Management Challenge(以下TMC)は、07年から始まった新しい授業。TMPを受講した生徒から「いざ自分自身がManagement Positionに立った時に、TMPでの学びをどう自分自身に落としこめるかを、更に突き詰めたい」との要望が多数寄せられたために新設されたクラスがこのTMC。

計24人と受講人数を絞った上、授業の大半は、更に6人×4セットのサブグループに分けて進められる。まだ2年目の授業なので、進め方については試行錯誤の面もあるが、まず、自分自身を取り囲むシステム(家庭・会社・友人といった「コミュニティー」や「時間」「年齢」「国境」等々の切り口)の中での自分の位置付けとその関わり方を、自分自身でMappingする。それをベースに、各々の成功体験や失敗体験を分かち合いながら、自分のマネージメントスタイルや陥りやすい罠を、教授・経営者・心理学コンサルタント等のインストラクションの下、少人数制の議論やロールプレイングを繰り返すことで学んでいく。

Biggadike教授は、96年よりコロンビアビジネススクールで教鞭を取り、彼の教えるTMPは選択科目随一の人気科目となった。穏やかな表情とゆったりした話し振り、そして学生の疑問や悩みに正面から向かい合う姿勢から、生徒からの人望も非常に厚い。Finance系に比べManagement系が弱いと言われがちなコロンビアではあるが、看板教授の1人であることは間違いない。

(2008年春学期現在)

 

Managerial Negotiations

教授: Ann P. Bartel

 

ネゴシエーションに関する理論と実務を学ぶ講座です。他のビジネススクールのクラス同様、まず理論を講義またはリーディングアサイメントで学び、そのあとにクラスメート同士が各自に役割を振られ(例えば、従業員と雇用者とで賃金交渉等)ケースシミュレーションを行い理解を深めるという構成になっています。一クラスの生徒数は38名と他の講義に比べると少数であるため、インタラクティブ性の強い講座です。
本講座では、ディストリビューティブネゴシエーションにおける基礎概念及びハードボールタクティクス、インテグレーティブネゴシエーションにおける基礎概念及びエフィーシエントフロンティア到達のためのタクティクス、さらに、マルティパーティネゴシエーション、インターナショナルネゴシエーション、ネゴシエーション上の倫理、等がカバーされます。
意識的・無意識的を問わず、これまでのネゴシエーションで経験済みであったり、既に実行していることも少なからずありますが、これらのこれまで散発的に理解していた知識も含め、ネゴシエーションのフレームワークを体系だって習得することができます。

 

 

Social Network

教授: Ko Kuwabara

 

いわゆるコネ・人脈についての授業です。自分の性格やキャリア・人生のゴールにもっともふさわしい人脈とはなにか、それをどう築き維持していくかについて、理解を深めるのがゴールです。

スタイルはレクチャー50、そしてレクチャーを補完するものとして、ケース20、ワークショップ10、プロジェクト20という感じです。
レクチャーは、Social Networkとは?から始まり、社会学、心理学的な観点からネットワーキング活動での留意点を学んだり、統計的な観点から自分のネットワークがどういう特性をもっているかを分析するツールを学びます。
合わせて、ケーススタディーを通じて、異なる性格の人が異なる目的のためにどのようなSocial Networkをどのように構築しているかを学びます。
また、ワークショップでは、たとえば質問内容を限定したインタビューを通じて、クローズクエスチョン(YES/NOで答えられる質問)に続けてオープンクエスチョン(HOW/WHYのように、答え方が様々ある質問)をすることが、建設的な会話をつづけていくTIPSである、といったことを学びます。
そして、これらを統合して、自分のネットワーク特性を分析し、今後どのような努力をしていくべきかを、レポートにまとめるプロジェクトに取り組みます。

教授はKuwabaraという苗字の示すとおり、日本人です!(13歳まで埼玉県に住んでおり、その後はアメリカで育ったそうです。)まだ非常に若く(PhDを取ったばかり)、今学期がはじめての授業ということもあり、アプローチは試行錯誤というところもあります。
しかし、授業の着眼点は新しく他の大学のプログラムであまり聞いたことがないものです。また、MBAでは毎週のハッピーアワーに始まり、極論すればプログラム自体がネットワーキングの機会であるとさえ言えるほど時間を費やしています。そしてネットワーキングは卒業後も程度の差こそあれ、誰もが続けていかなければならないことでもあります。であれば、この機会に自分のネットワークスタイルを見つめなおしているのも面白いのではないでしょうか?

ちなみにこのコースは2009年度から新しくなるコアカリキュラムの一部(2学期目の選択必修科目)にもなるようです。

(2008年春学期現在)

 

Marketing

Behavioral Economics and Decision Making

教授: Eric Shoenberg

 

Behavioral Economicsをマーケティングに応用するとどうなるか、ということをひたすら学ぶ授業です。教授は外交官やIT関連のファンドのパートナーを勤め、一財産を築いた後、一念発起してコロンビアの心理学でPhdを取った、という変り種。ファンド当時の経験談なども面白く、人間の心理が購買行動という経済行動にどのようなバイアスを与えていくか、をわかりやすく説明してくれます。授業はレクチャーが中心。新しく、かつある程度科学的なマーケティング理論を学びたい人に最適でしょう。

(2007年秋学期現在)

 

Media

Strategic Management of Media

教授: Bruce Greenwald

 

コロンビア大学の名物教授の一人であるGreenwald教授が担当するメディア業界にフォーカスしたマネジメント系のクラス。教授自身が専門とする投資理論とコアで勉強した経営経済学の理論をベースに、メディア業界がどのように戦略的企業活動を行うべきかについて議論をすすめる、ケース&ディスカッションのクラスです。

通信、ケーブルネットワーク、地域の映画館、メディア供給側の販売業、映画、番組制作、本、雑誌、新聞、ゲーム、コンテンツデータベース、等幅広く業界をカバーします。

毎週、各メディアの業界地図を学生から意見を集めながら構築することから始め、その業界の一企業のケースに沿ってディスカッションを進めます。授業の中でバリュー投資第一人者である教授自身がケースで取り上げた企業の価値算出デモンストレーションを行うのもこのクラスの醍醐味のひとつです。

また私の履修時にはロイターのCEO、ユニバーサルの役員、ゲーム会社の社長、他、教授のコネクションから毎週メディア業界からゲストスピーカーが訪れ、特に業界再編の現場で何が起こっているかというタイムリーな話を当事者から聞くことができ、大変興味深い内容でした。

学生の評価は授業への積極的参加度合い、1ページのペーパー(12個のケースから2つ)、ファイナルプレゼンテーション(7人チーム)の結果で決定されますが、基本的に全ての授業に参加し予習と1ページのペーパーをこなし、最後にグループとしてまともなプレゼンをすればH(最高評価)がもらえます。ただ予習の成果を試すためにコールドコール(突然当てて発言を求められること)され、実際にケースの登場人物のロールプレイをその場でさせられることがあるのですが、これはネイティブスピーカーではない学生の場合、予習をしていてもなかなか厳しいです。私は初回に当てられるという幸運に見舞われ、しどろもどろになってしまいクラスメートに助けられるという経験をしました。

メディア業界での経験があって学問的に自分がやってきたことを掘り下げたい方、今後メディア業界で働く予定がある方・働きたい方、コンサルや金融等他業界でも間接的に関わる可能性があって興味がある方、単純にメディアが好きで興味がある方、におすすめの授業です。

(2008年春学期現在)

 

International Media Business

教授: Eli Noam

 

Media研究会の大御所教授であるEli Noam教授の授業です。業界ごとに特徴を教えてくれるので、Mediaビジネスを俯瞰したい人にとっては最適の授業と言えましょう。端々にNoam教授の考えている10年先のメディアの姿が浮かぶ授業は、最新のコンテンツを使った非常に時代感のあるものです。
教授はひたすらしゃべりまくり、スライドは各授業ごとに150枚以上あるので、メディアに興味のない人には苦痛な時間になると思いますが、興味のある人にとっては宝の山の授業です。毎回、業界の有名人が2名スピーカーとして登場し、最先端の業界事情を知ることができるのもすばらしいところです。 

(2008年春学期現在)

Private Equity

Turnaround Management

教授: Gregory Rorke

 

Turnaroundという名のとおり、体力の弱くなった会社を以下にしてバリューアップするかが基本的なテーマとなる。

体力の弱くなった会社は、財務諸表に現れてくるので、まず体力の弱い会社の財務諸表の読み方を勉強する。どのような状況をもって会社の存続を危険とするのか、また現状では倒産がどのくらい近いのかなどを学ぶ。

財務と会計をベースに授業が進む。企業再生には新規システム導入や、マネジメントの雇用など現金のかかる改革をしなくてはならないが、キャッシュフローの潤沢でない会社がどのようにしてそれらを行うのかを学んでゆく。

財務以外では、企業戦略として体力の弱い会社がどのような収益の上げ方をするべきなのかを学ぶ。

投資家の立場から企業再生を捕らえている授業なので、企業再生後、最終的には他者に売却することでエグジットすることを目的にしているケースが多いと感じる。したがって後半はエグジット戦略なども学ぶ。

(2008年春学期現在)

 

Real Estate

Real Estate Investment (Master Class)

教授: Jeffrey Barclay & Camille Douglas

 

不動産専攻における目玉コース。RE Investmentでは、デベロッパーまたはPEファンドの実務家と一緒に動くプロジェクトがアサインされる。プロジェクトの内容は多様だが、参考までに、私は学生寮の開発の可能性の投資メモを作成するプロジェクト。市場の需給、ゾーニングの解読、想定リターンなどを報告した。
授業の前半はケースで構成されていて、そのテーマは開発・アクイジション・エグジット・ファイナンス・エマージングマーケットなど、多岐に渡る。授業の後半はゲストスピーカーが登場。不動産関係の各界から、毎回多彩なゲストが訪れ、その話は面白く、聞いていて飽きない。

(2008年春学期現在)

 

Social Enterprise

(編集中)

Value Investing

Value Investing

教授: Bruce Greenwald

写真: Buffett訪問
写真: Buffett訪問

火・木曜の午後5時45分から9時までの授業で、通常の授業よりは2コマ分多い+Happy Hourと重なりますが、投資に興味がある、或いは、将来ファンドでの就職を考える方には非常にお勧めです。

Columbiaの名物教授の一人でもあるProfessor Greenwaldが彼の著書Value Investingに沿った内容の講義行い、その過程で3つのvaluationケースの提出が求められますが、ワークロードは非常に軽いです。更に、学期の後半は、著名な投資家を招いて彼らとのディスカッションをする形式で行われ、ここからは何の予復習もいらない状態となります。毎年スピーカーは変わりますが、これだけまとめて著名な投資家の話を聞けることは後にも先にもないわけで、当該分野に関心がある人にとっては大変興味深いコースとなっています。

教授はかつてHarvardでも教えていた投資関連の分野では第一人者の一人であり、Warren Buffettとも親しく、OmahaへBuffettに会いにいく1日旅行も当コースの目玉の一つになっています。教授自身はcynicalで且つ物事をはっきりという方で、彼の考え方に100%賛同するかは個々人に任されていますが、聞いていて気持ちが良いです。いわゆるコアなvalue investorsたちがどのような考え方で投資を行っているかを知ることは、今後自分自身がどのような投資スタイルを追求するにせよ、為になります。

(2008年春学期現在)